近畿国立病院薬剤師会
Society of Kinki National Hospital Pharmacists

施設紹介

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独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
https://osaka.hosp.go.jp/
大阪医療センターの外観
新病棟完成 令和6年度(予定)
 

【概況】

大阪医療センターは、大阪城を間近に見ることができ、市の中心部を南北に走る上町台地の北端、難波宮跡に隣接する地に位置する。この地は明治初期に緒方洪庵の次男緒方彗順惟準が活躍した大坂病院があり、適塾の教えである「扶氏医戒之略」を要約した“正しく、品よく、心をこめて”の3つの言葉が職員に向けたモットーとなっている。

標榜診療科は39科で高度総合医療施設として国が提供する「政策医療」を行うべく、努めている。また、三大疾患であるがん・心臓病・脳卒中をはじめ、HIVや肝炎などの感染症、高度救命救急医療・災害医療等に幅広く取り組んでいる。

薬剤部は39名の薬剤師が在籍し、医療安全の向上と経済的な効率を勘案し、医師、看護師および多職種との協働を図りながら主体的に薬物療法に参画することで、医薬品の適正使用推進に日々努力している。病棟専任薬剤師は持参薬の確認、TDM、副作用のモニタリング、相談応需・処方支援、医薬品に係る医療安全の確保、医薬品の適正管理等において、チーム医療では組織横断的に多職種連携し薬学的支援に奮闘しているところである。

【薬剤部業務について】

薬剤部では、令和元年度の目標に「地域包括ケアシステムを考慮し、シームレスな薬物療法支援のスキームを確立するために退院時指導のさらなる充実と地域薬局との情報共有の充実を図る」とし、入院中の薬物療法の適正化と在宅療養での質の維持を目指し、持参薬から退院薬まで一連して関与する計画である。

1.病棟薬剤業務

薬物療法を的確に行う上で薬物動態を勘案した投与設計や投与経路・速度の提案、副作用症状の早期発見等を目標として積極的な関与を実施している。

2.抗癌薬・TPN製剤の無菌調製

良質な医薬品の供給を目的に、薬剤部注射薬室の無菌室において一元的に調製を実施し、抗癌薬に関しては全診療科を対象に月間約1,600件の無菌調製を行っている。薬剤部でレジメンチェックを行い安全管理の徹底を図っている。

3.医薬品情報管理

病棟専任薬剤師と連携を図り、日々更新される医薬品情報を迅速かつ的確に医療従事者に報告するとともにプレアボイド事例、副作用及び有害事象の収集、医薬品・医療機器副作用の報告、医薬品副作用被害救済制度への支援を積極的に行っている。最も経済的で効果的な医薬品の推奨リスト(フォーミュラリー)の作成についても段階的に進めている。

4.治験・臨床研究関連業務

GCPを遵守し盲検性の維持等を含めた適切な治験薬の保管、管理、調剤を行うと共に、被験者への治験薬投与が円滑かつ安全に行われるよう努めている。また受託研究審査委員会委員、臨床研究法に則った認定臨床研究審査委員会委員および治験事務局、IRB事務局・認定臨床研究審査委員会事務局の事務局員として、院内外における治験・臨床研究の適切な実施の推進に協力している。

5.チーム医療

1)HIVチーム薬剤師

HIV感染症患者への服薬支援を強化するため、担当薬剤師3名(専従2名、併任1名)を配置することで円滑な服薬支援体制を構築している。感染症内科外来に隣接した「お薬の相談室」を設置し、薬剤師が常駐することで患者動線の改善、医師・看護師との情報の共有化も実践している。また、後天性免疫不全症候群の患者を対象とした、緩和ケアチーム(PWA:(people with AIDS)サポートチーム)にも参画している。

2)抗菌薬適正使用支援チーム(AST)/感染制御チーム(ICT)薬剤師

ASTに専従1名、ICTに薬剤師2名体制で業務を行っている。主な業務としては、院内サーベイランス、バンコマイシンなどの抗菌薬に関する血中濃度解析を行っている。当院での特徴的な業務は、院内サーベイランスのうち、カルバペネム系抗菌薬、タゾバクタム/ピペラシリン合剤に関して、全症例モニタリングを実施しており、医師と協働で不適切使用症例などへの介入を行っている。また、薬剤師は長期使用症例へのカルテ介入も行っている。この他にも、血液培養陽性症例への早期介入など、主に医師との協働で業務を行い、患者へ適切な治療が早期になされることを心掛けている。

3)救命救急チーム・災害医療対策本部(DMAT薬剤師)
【救命救急チーム】
当院の救命救急センターは3次救急医療の一翼を担っており、外傷、熱傷、院外心肺停止、急性中毒など重症救急患者を診療している。入院前薬歴確認、投与設計、ルート管理など薬物療法支援を行うことで救急医療を支えている。
【災害医療対策部】
当院に災害医療対策部が設置され、薬剤師もその主要なメンバーとして参画している。日々、会議や訓練参加、研修計画を通じて信頼関係を構築している。
4)がん薬物療法チーム・ケアサポートチーム(緩和ケア)薬剤師
【がん薬物療法チーム】
外来化学療法室に薬剤師が常駐し、病棟での化学療法と同様に治療法の説明や薬学的ケアの実践を行っている。医師、がん化学療法認定看護師と共に症例カンファレンスを行っている。
【ケアサポートチーム】
ケアサポートチームは、がん、心不全などの患者さんとそのご家族にかかわって支援活動を行う多職種で構成された緩和ケアチームである。チームでの情報共有のために、チームカンファレンス、全体回診、各病棟でのカンファレンスに参加している。
5)NST薬剤師

NSTは、嚥下困難などの患者を対象とする嚥下・内科チームとがん患者を対象とするがん・外科系チームの2チーム体制となっている。この体制によって栄養不良に繋がる症例により早期から係わることができ栄養の改善と在院日数の短縮を目標としている。

6.専門・認定薬剤師の育成・研修受入体制の推進

薬剤師新人教育、専門・認定薬剤師の育成に取り組んでいる。また、薬学生長期実務実習生の受け入れも毎年全期を通じて行っている。

日本病院薬剤師会
  • HIV感染症薬物療法認定薬剤師研修施設
  • がん薬物療法認定薬剤師研修施設
日本医療薬学会
  • 認定薬剤師研修施設
  • がん専門薬剤師研修施設
  • 薬物療法専門薬剤師研修施設
日本薬剤師研修センター
  • 小児薬物療法認定薬剤師研修施設
  • 薬局・病院実務研修受入施設
薬剤部 集合写真
 

大阪医療センター薬剤部では、今後も患者様が安心して治療に専念できるよう診療体制の構築、医薬品にかかる医療安全に貢献していきます。

(文責 宮部貴識)